明日からもこうして生きて行くだろうと 〜悲願「旅の重さ(1972)」聖地巡礼〜

♪そして今私は思っています 明日からもこうして生きて行くだろうと♪  オートバイがあってよかった(無ければ俺、多分来れてない)“別格聖地”外泊地区
聖地巡礼

「そう、私は旅に出たの」

初回は結構行くだけで疲弊した四国ツーリング。どうにかアノ大阪・神戸を避けて行けないものか模索し、結局往路をフェリーにした。悪くない。ゆとりあるスケジュールで四国に再挑戦。

おぢライダー用バイク雑誌で何十年も憧れさせられてきた秘境「四万十」も旅程に入れつつ、実は裏メインはこっち。
映画「旅の重さ(1972年 斎藤耕一監督)」の聖地巡礼。

劇中、よく見ないと見落とす変な岩も健在。石垣の外泊に行く途中の中泊は高橋悦史系

作品自体については…ま、いっか。

いかにコレが別格かなど、語ろうと思えば際限なく語れるけど、語るほどに昨今では「変人・変態」扱いされるだけなので心の奥に深くしまった作品群、その筆頭がこの「旅の重さ」(同種に「僕のエリ」「リメイク版 サスペリア」「PS4 ラスアス2」など)。
とはいえ、コレは確固たる日本映画の名作、「ロケ地探訪」などはそのスジの先達ブログでガチ網羅&深く解説されつくしているので、俺ごときは所詮ノビチョク(ニワカ)なんだけど。

とりあえず念願の四万十をヤリ、ウワサ以上の“酷道”441号を這々の体で切り抜け、足摺方面へ南下。

この浜を歩きながら「ママ、とうとう来たのよ!」と言わない老害映画マニアはいない(多分)

爽快さ別次元!「足摺サニーロード」

この土佐清水から宿毛あたりまでの海沿いを巡る「国道321号(足摺サニーロード)」があんまりにも素晴らしく、走るのに夢中でおそらく周辺にもたくさんあるだろう細かいロケ地は流しちゃった。
凄いよね?有名?サニーロード。四国じゃ全員知ってるのかな?ガラガラだったけど。

龍馬さんにちなんで武田鉄矢の「白は餅!」のトーンで「四国は道!」と断言したい。

サニーロードをひた走ると、木立ちの隙間からチラチラ見えてくる美しい浜。何がそうさせているのか考察不足だがやはり本州のとは全然違う四国の太平洋。色かな?波かな?

「ホントにあった!」

大自然系ロケ地は何十年経っても当時の印象を残していて嬉しい。すぐさま当時の気分になれるし

そして聖地「大岐の浜」へ

当然、「ママ、土佐の海よ!」と高橋洋子ばりに叫んでシュミーズで海に飛び込もうかと思ったヨ。
鮮烈すぎて主題も前後のシーンもスッ飛んでしまうほどに眩しい高橋洋子のケツが飛び込んでいたあの海。威力としては「カンゾー先生(今村昌平監督 1998年)」の麻生のケツと双璧の。

『大岐浜』、今やサーファーのメッカっぽかったのでガマンして脱がなかったけど(捕まる)、波や浜の感じが映画のまんまで感激。
大自然系は昭和映画でもそんなに変わらない。一応「とうとう来たのよ!」とは呟いといた。

いよいよ伊予へ

ヒロイン=わたし(高橋洋子)が放浪(今思えば単なるガキの家出)の果てにたどり着く鄙びた漁村、“石垣の里”愛媛県愛南町外泊へ。

古いしきたり通りに加代の葬列が登っていく印象的なシーンの石垣。この先に特に墓とか無かったが

もう、ここはなんと言っても加代役の小野寺(a.k.a.秋吉)久美子!

ひたすら鮮烈で瑞々しい高橋洋子や、今思えば全然娘っ子だったと思われる横山リエ、くたびれ始めた背中が妖艶岸田さん(いや、多分全然若かったハズ)等々で、すっかり童貞どもがクラクラした所で儚げに登場。
70年代だし当たり前のように「自殺する文学少女」を出すあたりが小説原作モノぽい。多分、素九鬼子センセも思い入れあったキャラだと推測する(勝手に)。

リフォームはされているものの、雰囲気が全く撮影時と変わらない印象の外泊

女優陣、言っちゃえばどいつもこいつもマジ芝居がどうしょもないのに名作たり得るという「映画の不思議」を見せつけた好例。

…て作品の中身を語る気はなかったんだけど。

ケチな賭博で留置され、帰ってこない魚の行商人木村(高橋悦史カッコいい)を待っていた石段。怖いくらい初々しい秋吉と出会うシーンもココ

聖地「石垣の里」外泊

たかがツーリングの野次馬風情が事情もわからずに「いつまでも残して欲しい」などと軽々に言えないが、映画とともにいつまでも残してほしい景観。
海も凄まじく綺麗だし、あとは交通の便だけか。

ヒロインが行き倒れ寸前(単なる風邪)で木村に助けられるシーンの鳥居。当時は木製で朱塗り。画面左の船着場は自殺した加代が引き上げられて検分されていた所(?)

ここで全部達成のような気がしちゃってた四国ツーリング、この後もうひとつの大ヤマ「UFOライン」でさらにもう一段階異次元体験をすることに。

それもいずれ。
2度目の上陸にして実感、「四国ヤバい!」

◉野磁馬