もう呪われてない?日本の空 〜羽田空港“呪いの大鳥居”移設から26年〜

彼方に飛び立つ日航機。 いつの間にかシレッと半官半民時代のシンボル“鶴丸”に戻すなど、あんま信用できない社風。 かつて「のろわれた日本の空」呼ばわりされた歴史を知っているのか、今の社員は
旅の入口 〜駅・空港〜

そもそも「のろわれた日本の空」とは

1985年の「日本航空123便墜落事故(事件とも)」から40年目を迎えるという。
ここへきて所謂「青山本」に端を発する“国家的陰謀論”がネット界隈では喧しい。とうとう国会(委員会)でも俎上に上がり、いまさらヒゲの佐藤だのあの辺がもっともらしい反論をしだしている。

テレビでは「陰謀論」とか聞くとすぐ眉を顰め、なんなら反射的に怒り出す木村太某みたいなヤツが散見されるが、耐性ねえなあ。
この事案など顕著だが、そもそも「陰謀論」の発生は、「情報漏れたら即、隠蔽!改竄!公式発表が結局ウソ!そんで結局バレるクセに謝らない!」という、数十年間政治家と大マスコミがこのオハコを繰り返してきたことが根本原因だからね。

そりゃ「陰謀」でいいだろ。

海老取川にかかる「天空橋」。ここから小舟で東京湾羽田沖ツアーに

話題の2025年、節目の年に何か大きな進展(?)なり発表なりあるのだろうか(期待薄)。

あ、俺ですか?現在は「反青山本・でも反事故調」派。
「相模湾のサルベージやCVRの完全公開こそが真の事故原因を知る手掛かりだから、この話はそこから」とか、逃げとしか言いようのない無責任な態度で冷笑を決め込むシッタカ連中に対しては基本軽蔑の姿勢DEATH。自分の頭を使え。

思春期にこの国民的トラウマ報道を見てからこのかた、なんとか自分の中だけでも決着をつけようと様々なお説の関連書籍や動画(って今は呼ぶらしい)を漁りまくり、ヤケにこの事故に詳しい“野次馬おぢ”化しちゃったわけだが。

これもある意味「日本の空の呪い」と解釈してるけど。

リアタイじゃない方々が、あまりの犠牲者数と「32分間」にたじろいでコレばっかりになるのはやむなしとはいえ、実は「世相」と切り離しては考えられない事故(事件)だからねアレは…とか語らせるとほんっっっとに長くなるので、よす。

浦沢のマンガでは刑務所になっていた「風の塔」が遠望できる。
気持ち悪!だが昭和SFデザインを完全には否定できないウルトラ世代

「日本の空はのろわれている!」と世界規模で騒がれたのは御巣鷹の尾根から遡ること約20年前の、1966年のこと。
見てよ、

2月4日(金)  全日空60便羽田沖墜落事故(原因不明)
3月4日(金)  カナダ太平洋航空402便着陸失敗事故
3月5日(土)  英国海外航空機空中分解事故
8月26日(金) 日本航空訓練機羽田空港墜落事故

以上羽田がらみ

11月13日(日) 全日空松山沖墜落事故

…いや、なんの疑いもなく呪われてるし…こんなことある?JAL・ANA・海外満遍なく落ちるという。

実はもっと前から呪われていた羽田

世間的にはこの年をして「のろわれた日本の空」と呼ぶわけだが、実はこれは終戦直後から始まっていた「呪い」の一部でしかなかったとゆーじゃないの。

それが「羽田穴守稲荷呪いの大鳥居伝説」。

羽田の前身「東京飛行場」が戦後GHQに接収された際、適当に社殿だけを取り壊され(御神体は遷座)、空港内の変な位置に鳥居だけを残された「穴守さんの祟り」というわけだ。

突然住処を追い払われた住民の怒り・無念があの鳥居に宿っている、とも。
米軍が実際撤去作業を始めた途端に事故が多発して中断、その後も大鳥居に移設・撤去の計画が持ち上がるたびに日本の空で惨事が起きていたというハナシ。モチロン偶然。

戦後発生したほとんどの国内有名航空機事故、すなわち、

1952年4月9日(水) 日本航空301便「もく星号」墜落事故(完全未解決)
1963年8月17日(土) 藤田航空機八丈富士墜落事故
1971年7月3日(土) 東亜国内航空63便「ばんだい号」墜落事故
1971年7月30日(金) 全日空機雫石衝突事故(人がバラバラ降ってきた)
1982年2月9日(火) 日本航空350便羽田沖墜落事故(機長、やめてください!)
1985年8月12日(月) 日本航空123便墜落事故

なども全部含まれてくるという。一体どうなってんだこりゃ、である。

ナントそれは「1994年 4月26日(火) 名古屋空港(現小牧空港)中華航空140便墜落事故」まで続いていたという。

そーゆー斬新な視点で(多分世界で初めて)書かれた、敬愛する“怪奇探偵”小池壮彦先生の渾身ルポが本当に貴重で素晴らしいので付け足すことなどないのだが、一度そんな羽田を海側から見る機会があったので現状を記してみた。

◉野磁馬製作の位置関係把握用羽田地図。仕事じゃないのに…

海から見てみた羽田

縁あって、82年の「日航羽田沖墜落事故」の現場に行ってきた。所謂「逆噴射」の。
同じ日航機事故でも「もく星号」や「123便」のように『原因不明・アメリカがらみ陰謀論案件』じゃないこと、死者数が少なめなこと、下手人の機長が“センシティブな病気”であったことなどが相まってか、他に比して今では語られる機会が少ない事故。

俺の世代は卒アルにこれ載ってるもんね。無論「123便」もだけど。いかに旅客機が落ちる乗り物だと刷り込まれてるか、ってこと(今でも若干思ってる)。

この辺りが流行語にもなった「逆噴射事故」現場…だったと思う。海のクセに凄い変わっちゃってるから大体で

「ホントにあった!」

浅いのね、海。当時の現場写真、首だけが折れた機体が全露出で写っていたのを覚えておられるかと思うが、アレ別にぷかぷか浮いてたわけじゃなく、あのくらい浅瀬だったってことでまずビックリ。
なんかイントレに雑に括られた神社の木札とかあって、やはり死亡事故現場なのだと実感。

これはなんだ。せめてイントレを朱に塗るなり、なんかしなくてもいいのか

しかし再び起きた羽田関連航空機死亡事故

小池先生のルポでは「もう祟りはおさまったのか」的に結ばれていたが、記憶に新しい「2024年1月2日(火)羽田空港地上衝突事故」はどう捉えるべきか。日航の機体が関与した全損事故は「123便事故(事件)」以来だという。

現在の大鳥居を海から眺める。日の丸がなんかムカつくが、触れたら呪われるような悪い気はもはや感じられない…

海から見たくだんの大鳥居は今や「あっても別に違和感ない」位置に移設されたせいか、特段異様な気を放っている風でもなく爽やかな佇まいだった。

「ホントにあった!」

そもそも庶民に愛された穴森神社のお狐様がそんなバンバン無差別に祟るものかどうかも懐疑的だったが、また別の何かが、羽田ひいては日本の空で跋扈しだした…ってハナシじゃないといいな。
飛行機、結構乗る人生になっちゃったから。「123便事故」があった思春期には想像もしていなかったけど。

お願いします。

R.I.P….航空機事故の犠牲になられた数多の御霊に黙祷しつつ。

◉野磁馬