生きて卒業できない絶望の校舎 〜S21 トゥール・スレン〜

収容棟外観。外(校庭)から眺めると、本当に日本でもお馴染みなただの学校。 そのことがまたより気分を暗くしてくれるダーク観光地
1枚の写真 〜ONE SHOT〜

 

インテリは俺も嫌いだけど、殺すな

今日の1枚は、旅程にどう組み込むかでその旅の印象を変えてしまうとゆー、取扱注意のカンボジア最恐ダーク観光地「S21」。

皆さんもう見慣れているであろうあの怖い(汚い)市松の床、怖い(粗末な)ベッド、さらに最も怖い(いかにも急拵えの)あの独房とかの画像ではなくて、実につっけんどんなつまらない外観を。

「ホントにあった!」

単なる学校に見える。そう見えれば見えるほど怖い。

校舎の裏手や周辺環境も、怖い鉄条網や墓地とかを視界に入れなければ、本当に杉並かどっかの小学校と変わらない。

ポル・ポトの大誤算

現代アジア史でも突出して悪名高い「クメール・ルージュ」。

成り立ちから崩壊まで、出てくるエピソードの全てがウンザリだが、とりわけ暗澹たる気持ちになるのが教育者・知識層の排除ってヤツ。リアル「学校なんていらない!」。社会主義革命の中でも、「それやるとホントに後の世で苦労するから、やめとき」と過去に帰って助言したくなる。

カンボジアの再建や発展が周辺諸国に比して一際遅くなったのは(あ、ラオスも遅いか)『教育制度の解体』であるのは間違いない。頭いいヤツから殺していくのは国家にとってなんの得にもならないという実例。

残酷な拷問のディテイルや計算違いかと疑いたくなる犠牲者数も無論恐ろしいが、その現場になったのが塀で囲まれた「学校」っていうのがもう一重、気を重くさせるよね。

◉野磁馬