転がらない香港に苔は生えちゃったか 1 〜銅鑼湾書店事件10年〜

1枚の写真 〜ONE SHOT〜

人生初海外は香港だった

釧路も海外だけどカウントしないことにして。1987年美術学校の研修旅行で行った香港が初の海外体験。

それから現在までに結構な数の外国に行ったり行かせてもらっているが、ずっと「好きな外国オールタイムベスト3」は迷わず香港と即答してきた。2020年までは。

アレ(中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法)施行以来、行けていないので現状は想像するしかないけど。
多分、もうみんなの好きなあの香港じゃないんだろうな。

「雨傘運動」敗北で転がるように…

アグネスたちの奮闘を、遠くの国からヤキモキしながら見守るしかなかった時期に発生した「銅鑼湾書店事件」。単なる書店員が香港近隣でドンドン失踪するという怖いヤツ。
KCIAや、日本の特高警察を連想させるアナクロな「思想取り締まり」に心底ゲンナリ(後で聞けばあんな拷問とかはなかったらしいけど)。「一国二制度」は事実上無効か、と。

今日の1枚はそのゲンバの銅鑼湾書店前。維持法成立直前くらいの時期に撮ったもの。

「ホントにあった!」

観光客で賑わう商店街の一角にヒッソリある「銅鑼湾書店」。特に用がない観光客にとっては入口もよくわからないし、見落とす。今どうなっているかは知らない

市民はスッカリ落ち着いたのか諦めたのか、さほど以前と変わらぬように感じたが、きっともう中身は全然変わっていたのだろう。
見た目が同じで中身が変わっているという、インベージョンモノの一番怖い設定。50年代アメリカのSFかよ、と。

この時初めてタクシーで英語を全く話せない運転手に当たったのも、香港の変化(終焉)を感じる出来事だった(田舎なら昔からか?)。

スッカリああいう看板もなくなったという、かつて愛した香港。
野次馬的に「行かなきゃ!」というトピックもないし、今やアジアの中でもずっと後回しにする「地域」になってしまった。

次は日本の番らしいけど。

「今だから行くべし!」という何かがあればご教示ください。

◉野磁馬