コミュニティアートって何? Part4 〜カオスの中で立ち上がる歪な人形達〜

借りてる小学校のグランドを養生して、ワークショップも本格的製作に突入。子どもと共にいちいち躓く日々のスタート。俺どうやってたっけ?そんな基本的なこと…
アジアローカル旅

その時、子どもたちの手が止まった

ワークショップが始まって数日経過。
ゴミ拾い(素材集め)やアイス・ブレイキングのゲームにばっかり夢中になったガキどもも、いよいよネタ出し→プレゼン→デザイン→図面起こしとガチモードに入っていくにつれ緊張の面持ちに。

集団で何か作る際はここがまず難所。

白い模造紙に「我がTOWNを散策してみて、ただ思いついたことをとにかく書き殴れ」っていう課題もなかなかムチャ。俺も思いつきでカジャン市は「坂が急」とか書いてみた

まずコンセプトを主催側の大人が決めているため、それを汲んでかつそれに沿った形で発想できるなんてのはもう結構な年長者しか不可能。

参加者の大半は「よくわかってないけどなんか工作したい、お絵描きしたい。できれば僕の考えたやつを採用してほしい」という子どもなわけで、小班に分かれたとはいえ、まあ進まないのが当然。

ここで下手にガンガン手を出して俺が描いちゃっては元も子もないので、ジッと模様眺めに。この時はまだ実に真面目な日本人。

その工程で2日費やし、どっかの段階で総監督の教授も若干焦り出して来た。だんだん指導の声も大きくなって(笑)。

真面目に業務に取り組む日本人。どっかの時点で「あ、そういうんじゃないやコレ」と気づけたのが幸い。コミュニティ・アートおぼこが開眼した瞬間(いつだったか忘れたが)

大量に出た描き散らかしのデザインから、俺がもっともらしい理由つけて選んでくれと言われて「そんなんできるか!」とささやかな抵抗。
確かに子どもらの絵のスタイルはかなり日本のカルチャーの影響を受けたものが多く(苦笑)、俺が決めるというならガキどもを納得させられそうではあったが。

「お絵描き」までで完成形の幼児・幼稚園児班を視察。着々と進んでいるようだが、よくみたら居残りで描いてるの大学生のスタッフばっかじゃん

いよいよガキどもの手も止まって口数も減って来たので仕方なく、「こういうお話のこういう役割なら、このパーツがいいよね?」などと言いながら折衷で無理やりキャラに仕立てたんだけど。

進まないから。

そんなこんなでなんだかんだで(この辺から来なくなっちゃうガキも現れ始め)4体のキャラデザインめいたものが揃った。

…しかし、手の方はより動かなくなってんじゃんよ。なんで?

私たちの望むものは〜🎵(岡林)

そう、図面に起こせないのだった。

俺のいた業界では「カクダイ」と呼んでいたおおまかな実寸の設計図。今やそんな「業界」すら解体され、当時俺たちロートルが使いまくった専門用語なんかもどんどん廃れていってるんだろうけど。

いつかな?俺個人は「ナグリ」「ガチ」を理解できない若手が現れたときに新時代に入った感があったな。
テレビギョーカイではどうかな?「おはようございます」を拒否するADがいるっていう都市伝説は聞き及んでいるけど(笑)。

しょうがないから、割と複雑な立ち姿をしているキャラを作る班の「カクダイ」をマジックで描いてあげた。「たとえば、だよ?たとえば。こうでこうじゃん?」みたいに。
そしたら「うおお!」みたいに驚嘆の声が上がって全員集合。「コッチのも!ウチのも!横向きは?背中は?」みたいに図々しく発注始めやがって逆効果に…

1日1回、しっかりと来るスコール。「ああ、東南アジアで仕事してんだな!」と実感したのは最初の数日。後半はいちいち作業が滞ってウザいだけに

てか、今思えばこの時まで俺なんか彼らしてみりゃ「プロフでしか知らなかったコワモテの日本人のオッサン」だったわけで、チラッとソッチの力を見せておかなきゃいけなかったんだな、最初に。講師として。

仕事でやってると再就職でもなけりゃポートフォリオなんて作らないからね。その意味ではこの日この時にようやくちゃんとワークショップ講師と生徒って「関係」になったって感じか。

「ホントにあった!」

とりあえず「ハイ、ほらあとは自分らでやるんだよ!」と逃げたのだが、ようやく動き出した実感あり。

この時点で素材として使えそうなのは缶と箱…「地元で集めた素材」という縛りを勝手に無視し出したのはこの班のデザインを見てから

とはいえ、それぞれの人形に1箇所カラクリを入れる事なども暗に設定されているし、前途に立ち込める不安の暗雲。

総演出や主催側に「結局ソッチはどういうのを望んでいるの?」と執拗に確認しても、まだ何も無いものに望みすらあるわけもなく、「ああ、結局俺が諸々背負う系ね」と覚悟。
向こうにすりゃ大枚叩いて(知らんが)呼んだ日本人作家なんで、それなりの成果いただきますと期待してらっしゃるんでしょう。

カジャンといえばサテ(マレー風焼き鳥)。有名店「サテ・カジャン」じゃなくとも上手いサテがその辺で食える。過酷な仕事も地元の飯とビールとアレで吹っ飛ばして行こう。酒が結構難しいマレーシアだが、華僑系はその辺問題ナシ

そんな丸投げ仕事は日本でいくらでもやってるし(今もネ)、ガキどもと共に一丁それっぽいのやって(やっつけて)やろうじゃないの。

…て、確かにこの時点では腹を括ったはずなんだけど…

レポート終盤Part5に続く

◉野磁馬

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