メシこそ文化
これまで雑多にいろいろな記事を書いてみたけど、旅を取り扱うブログとして「彷徨った先の変な文化や独特の風習を紹介する」というコンセプトに準ずるならば「メシ」も当然やっておかなきゃならないような強迫観念に苛まれて。
徐々にその辺もやっていこうと思った次第。
第1弾に相応しい、思いっきりヘンテコな「世界メシ」をチョイスしたかったのだが、少ない読者諸兄に「わあ、次行ったら是非食いたい!」と思わせる要素もまた必要と思い、悩んだ挙句にこの中途半端なヤツを。
その名も「ピルピル」
食ったのはスペイン・バスク地方。
ビルバオやサン・セバスティアンが有名だが、俺が訪れたのは数十分電車で下った「トローサ」という小都市(てかほぼ村)。閑静で、無闇に美しい町だった。
今まで訪れた海外の街でもしかしたら第一印象で1番美しかったかも。

とにかく綺麗なバスク地方の小都市「トローサ」。街を見下ろす高台に登って感慨。我に帰って「何してんだ俺、こんなトコで…」
※この仕事、これまた滅多に体験できない美術関連の仕事だったのでいずれ詳しいレポートを出そうと思ってますです。
バスクといえば貴兄が今すかさず思いついた「ピンチョス」がもちろん有名。当然小生も、かの地方に都合3〜4週間ぐらい行ってた間に結構色んな「ピンチョ」を食った。
しかしながら、日本人で「バスクメシ」と言うと、先駆者かつ第一人者の「山口ジュネ」という巨頭(美人!)が存在していて、俺如きのペーペーが「ピンチョス」についてどうこう語るのはおこがましい。
ここはあえて慎ましやかな実体験に基づくヘンな事例を紹介するに留める。

コレね。バルやカフェ、それぞれの店のマスターが意匠を凝らした絶品のアペタイザー群。ここのフォアグラのやつも激ヤバだった。…でもこれについて語るのは専門家にお任せで
「バカラオ」ってご存知?
いわゆるタラの塩漬けね。バスク地方に限らずヨーロッパ全域、南米でも料理の素材として定番。
とにかく保存の為、めっちゃ塩なのでまずは「塩抜き」がマスト。その意味では日本の干物みたいな…って言ってるそばから違うな。発酵食品ではないし…
荒巻鮭?塩抜かないか…
まあいいや。そういうヤツ。

アジアでも欧州でも、日本以外の世界で出会えるこういう「市場」文化もまた楽しい。昨日までは同じ広場で服や布の屋台が並んでたんだけどw
なんか「男性クラブ」的な
この仕事の主催者である“町の名士・ヨーロッパ人形劇界の重鎮”A氏も今や鬼籍に入られて久しいが、バスクおぼこの東アジア人(俺ネ)を歓待する意味もあってか、妙にディープな環境で地元料理を振舞ってくれた。
R.I.P. アレッチェ。
バスクで現在も秘めやかに継承されている文化「美食倶楽部」ってのがあって。男性しか会員になれないという前時代的(実際19世紀発祥)な結社。
かつては男だけで集まり、金を出し合って借りたキッチンで美味いものを作って、家庭だの子どもだのを忘れて飲み食いしながら趣味や政治の話をダラダラするという非常に生産的な集い(笑)だったのだが、現在では「古き良き時代の(良きかどうかはこの際考えない)独自文化懐古」の意味合いが強く、女性ももちろん厨房に立たず食べるだけなら参加も可という感じで、要は形骸化してるナゾ文化。
「ホントにあった!」

腕毛も豪快なバスク野郎が雑に拵えた雑な男メシ。不味かろうはずもないが、どのくらい美味かったのかも判定不能
その体裁で先述A氏が嬉々としてトローサのレストランを借りきって食わせてくれた「ピルピル」。
なぜこんなに乳化してトロトロになるのかは(聞いたけど)よくわからないが(多分化学)、いずれにしろめちゃくちゃ美味かった!
てか、オリーブオイルに美味い塩、現地の新鮮素材とガーリックでハズすわけもなく、雰囲気も相まってやたら美味いものを食った気になっているが、冷静に日本で食い直してみたい一品。
結局、俗説「ニンニク最強」が再確認できただけだが、滅多に経験できないバスク文化「美食倶楽部」に参加できたのは幸福でしたとさ(結局食レポとしてダメダメ)。
◉野磁馬



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