“魔境”ボルネオの汚い玄関 〜言いたかないけどコタキナバル 2〜

ビーチ売りの旅先で、ここまで海洋汚染問題を考えたのも初めてか。「タンジュン・アル」
アジアローカル旅

汚めアジア大好きおぢも閉口

とりあえず海系観光地に来たからには、その国(地域)の海事情を見ておこうと。すぐに出てくるのは「タンジュン・アル」である。

コ汚ナバル…もとい、コタキナバル市街地から数キロ(注意:絶対歩けない距離)空港方面に戻った辺りにあるビーチ・リゾート・エリア(だったよね?)。

ちょっと前の観光ガイドでは基本「海に沈む夕日がウリの美しい海と浜」的な紹介。どれどれ、こちとら駿河湾生まれ、それにこないだ若狭湾見ちゃってるからね。

1時間後に戻るという恐怖の口約束で、結局延々タクを待った猛暑の歩道。30分遅れでも、来たからいいけど…

「1時間後に迎えに来るから」という、絶対信じてはいけない口約束をしてタクシーを降りると(いい加減Grab試せよ)、すでに変な臭いが。

第一印象が大事と、周囲の建物や生活水準などには目を向けず、偏見なしにビーチへ。

ヘボい画像でもそれは一目瞭然

汚いだけじゃなく、危ないとしか言いようがないゴミの種類

どうですか、コレ…

凄いでしょ。泳ぐどころか足つける気もしない。またヤケに危険としか思えない種類のゴミだし。あと毒ありそうな生物の死骸なども打ち上げられていて。
画像の奥に別の意味でハードそうなマリン・スポーツに興じる人々が写っているが、そっちの方面は綺麗なのか?

奥の若干ハイソなマンションだかなんかから垂れ流されていると思しい汚水の川

タンジュン・アル・ビーチと単純に言ってもその範囲はかなり広く、多分だけど「シャングリラ・リゾート」のある方は最低限美しく環境を維持しているんじゃないかとは思われる(ネットの広告写真を見る限り)。
俺が着いたのはだだっ広いフードコート(屋台街)の前のエリアで、基本的に飲み食いしたゴミが多い特に汚いエリアだという事は差っ引いても…

「ホントにあった!」

泳ぎたくないどころか、目も当てられないビーチの惨状。ちゅ…いや、アジア圏観光客のせいだけなのか

売りがサンセットで、暗くなるのがメインだからって海汚していいわけはないと思うけど。

10年後を想像するのも先進国への道

コタキナバル、ここだけではなく例のカジキマグロのいるマーケット周辺の海も臭くて汚かった。

獲れたて新鮮な魚介類をその場で食うのがウリだからかゴミもヒドいもんで、このままルーチンで汚染し続けていったらその観光客も見限ると思うけど。「そこで釣った魚食いたいか?」問題で。

市街。活気ある海沿いの海鮮市場。モチロン市場は世界中大好きだが、食ったのは青菜とチャーハン

観光客は主にアジア圏の人中心ぽかったが、欧州の人は見切りをつけてコタキナバルは山とジャングルに振り切っちゃったのかも、とか想像したね。
海だけならもっと全然綺麗なトコ知ってるだろうし。

観光客のゴミとインフラ、どっちが先か

しかし、おそらく元凶であるアジア観光客が去ったらいきなり美ら海に戻るかというとそう簡単じゃなさそう。

飛行機で上空からマレーシア(もちろんインドネシアも)を見ると、とにかく川が全部茶色。海に注ぐ地点では汚水と海水の境界がよく見え、それがかなり広範囲に広がっていることも確認できる。

つまり懐かしい「垂れ流し」ってヤツね。
日本では高度経済成長期にピークに達した公害とりわけ河川・海洋汚染は、その後の科学の進歩(?)や国民への「環境倫理学」の浸透(?)でクリアしたテイになっているが、グローバル・サウス勢、ASEAN諸国はここからその流れが始まる感じなのかな。

おそらく中国ベースで。

上空からマレーシアを見る。ぶっとい大河から支流まで、満遍なく汚い河川。この色、濃度のまま海に注いでいる(多分)

まずは生活している人々の意識をどうこうより、上下水道インフラの整備を真っ先にやらないと。日本式としては。
ASEAN諸国は民族も宗教も多彩で、日本ほど「国を挙げて一丸でのナントカ」でまとまりそうもないので(偏見)、政府キャンペーンも一筋縄ではいかないだろうな。

汚いと言えばプノンペンの上下水道問題も、九州かどっかの水道局がガッツリ現地に食い込んでやってる「飲める水道水」にしていくプロジェクトを10年くらい前に散々テレビで取り上げていたが、数年後に実際行ってみた時はまだまだって感じで(数日いれば100%腹壊す)。
国際支援も世界情勢に左右されて変わったり、特にマレーシア・インドネシアは政治によって、なんでも途中でやめる印象(偏見上等)だし、そもそも時間のかかる問題ではあろうが。
アジアの覇権(苦笑)は中国にすっかり明け渡したなら、そっちでちゃんとやっていただきたい。どちらの高速鉄道も最後まで面倒、お願いします(センシティブ)。

環境問題に付随するエネルギー問題もだが、ASEAN諸国にはアジアで唯一の先進国ぶってる日本がいったん滅びかけた際の教訓から何かを学んでほしい(いつの間にか何様に)。

◉野磁馬