傾斜するメガ・シティ 〜ジャカルタ絶賛沈下中2〜

笑い事じゃない地盤沈下の実情を見に行ったが、意外に海まで遠く、道中がほぼスラムだったので色々逡巡した挙句挫折(加齢)
アジアローカル旅

沈む前に見ておきたいのが真の野次馬

ジャカルタ行きを決めてからニワカ勉強をしたが、直近のトピックとして目を引いたのが「Land subsidence」。いわゆる地盤沈下なんだけど、ジャワは島だから、沈没か。
いや、コレ関空なんてレベルじゃないじゃん。

日本社会みたいに比喩として“沈んでいる”んじゃなくて物理的に沈んでいるということで驚愕。
年に20㎝(!?)という、測り間違いとしか思えない勢いで海に沈下し、そのうち沈むらしい首都ジャカルタ。

駅はすべての旅の始まり。無条件でワクワク。旧市街「ジャカルタ・コタ駅」

一般的な観光も一応押さえておこうと旧市街コタ地区へ行くことにした日。
地図で見たら旧市街、運河沿いに歩けば程なく海に出るんじゃないかと思われる距離感(大いなる勘違い)。

ザ・東南アジアの人々とダッチ・コロニアル様式の街並みが全く馴染まない観光地「ファタヒラ広場」。
この自転車も一体どうしろってんだ…と

沈下&放棄モスクを探しに

真正「野次馬」の俺がねらうはモチロン半分沈没したまま放置されているモスク。超アジアっぽい。

宿泊しているゴンダンディアからはコミューターラインでスルッと1本(グチャ込みだけど)。横浜線かなんかの払い下げ電車で。
駅前、ファタヒラ広場は目玉観光地。

ダッチ・コロニアル様式の古い建造物が並んでるんだけど、役所とか博物館。人形関係の仕事を35年もやっていた俺的には今更ワヤン博物館とか見てもしょうがないんだけど。
カラー自転車も乗らないし。

旧市街を流れる運河。絶対海に注いでいるはず、とアタリをつけて歩き出したが、大甘でした

とりあえず運河沿いへ

…いろいろ甘かった。
トラキチでも絶対飛び込まなそうな腐った運河沿いに駆けていくムスリムの少年少女を追いかけるように海方向へズンズン行く。

ある通りを超え、橋を越えたらもういきなり周囲のムードが一変、「歩き方」系ガイドでは“とりあえず観光客は行くな的地域”に踏み込んだの間違いなし(スラム大好きなんだけど)。

スラムといっても色々。世界を旅していれば大体どのくらいの危険度かを察知するアンテナも鍛えられるのだが、ここまでシームレスにそういう地域と目玉観光地が馴染まれるとよくわからない。

ドブ以下の運河沿い。どこへ行くのか知らないが、少年少女が楽しげに駆ける方へしばらくついて行く

「ホントにあった!」

さらには単純に海まで結構遠くて、炎天下でグングン減って行く水分と更年期の体力に鑑み、今日はやめた。
もうテレビの取材班で行って。

ジョコ率いる政府は政治機能の移転(避難)を絶賛実施中らしい。移転先はカリマンタン。マジかこいつら…
インドネシアの未開のジャングル開墾なんて、ワケのわからない猿が宿主の未知のヴァイルス呼び覚ますイメージしかないんだけど。
あと、カリマンタンの交通インフラがジャカルタの地盤沈下より早く進むと思えない。
マレーシア・インドネシアはもう中国にまかせよう(それがそもそも…)

いろいろなところに生活というのはあって。よく昔オフクロに「あんたは橋の下で拾ってきた子」と言われたものだが

この貧民(っていったらいけないんだっけ?)で構成されたメガ・シティ、まるで先の見えない格差やインフラ整備やホスピタリティの問題、全部ほったらかしで首都機能だけ移転させる気かな…

実際のところ知ったこっちゃないけど、歳をとってくるとこの退廃の中、諸々放置でのんびりだらしなく暮らすのはキビシいのか。はたまたそっちの方が楽に死んでいけるのか(まだ移住のこと考えてたらしい)…

◉野磁馬