なぜか感知できる“気”の境界線
ライダーも色々いるので賛否分かれると思うけど、明らかに場所の“気”みたいなのって感じる時あるよね?オートバイで走ってる時。
「あ、今なんか変わった」って実感。六本木ヒルズに近づくとあったりするアレ(無いって?)。
元々、外気に体を晒して直接地面の上を走る乗り物なので、大型トラックなんかよりはいろいろ感知するのも当然だと思う。

高台からの上山。
この山の下は東北自動車道のトンネルが貫いているし、中腹も結構(耕作地?宅地?)ガシガシ崩してる気がするが、その辺は山におわす勢力と折り合いがついているのか
“気”とか言い出すと昨今のボキャ貧ネットネイティブ諸兄にすかさず「スピ」呼ばわりされそうだけど、“氣”と表記しない分だけ許してほしい。
「スピ」でもなんでも結構だけど、せめて「感受性が鋭い」って言って欲しいものだ。
日本でも外でも、初めての場所行った時ソレ発揮できないと色んなもの見落としたり、死んだりするから注意。
非常に簡単に向こう側に転がる性質を持つ不条理な乗り物(だって、止まったら倒れるんだぜ)に、なぜか長年乗り続けている変態ライダーズ諸兄には釈迦に説法、「そのくらい覚知できる性能持っていて当然」の世界だと思うけど。

あまりの珍景に若干心和みつつも、画面右の山からの圧が気になる田園地帯
アッチとの境界が曖昧な端山
で、前回「スカイタワー41」に驚いて若干おちゃらけた山形県上山レポート。人格者Mちゃんの故郷探訪(本人の許可なしの単なるストーカー)。
人里は本当に単なる日本のド田舎の情景(まっすぐに整備されたヘンな名前の道路・家電量販店・紳士服チェーン・大型駐車場付きコンビニ&飲食店・docomoショップなど)なのだが、ちょっと違和感なのは周囲を囲む山。
出羽三山だの奈良・京都のナントカ山とかの本格「霊山」や、山屋さんの登る「山」ともまた違う、いわゆる端山なんだけど、それらが発する圧迫感が凄い。
その山が気になって、山裾にへばりついているような古くからありそうな集落に寄ってみる。仙石。
何の変哲もない生活用の小道に異常な誘引力を感じ、アドベンちゃん(KTM)で踏み入ってみれば数10メートルでいきなり“気”が変わり、もうそこはアッチの領域。

周辺にいくつもある「熊野神社」前。ぶらぶらしていたら何気なく名勝「岩観音」の看板を発見。行かずにおらりょうか
俺の実家もいわゆる富士山麓で、幼少期は里山で育ったんだけど、なんか山自体が付帯しているものが全然違う気がする。ウチの場合はガンガン山崩して新興住宅地化していく過渡期だったんだけど。
この圧迫感、俺の経験上あの種の“気”だと思う。
多分「信仰心」?

オートバイを停めてこの参道に踏み入った途端、世界が変質する
奈良の一部、四国うどん県の一部、あとはスペインのバスク地方の一部にもあったかな、「あ、ここからもうコッチの領域じゃない」ってつい足を止めちゃう圧力。だいたい山間部で。
その地の、信仰の対象になっている神様とか偉い人そのものや、俗にいう霊とかそういう類いの力じゃなくて、ソレらを信仰する人たちの念とか心みたいなものが年月の中で堆積してできた磁場。
ヨーロッパではデカくて古いカテドラルも怖いが、その脇にひっそりとある、観光客向けじゃない小さい宗教施設とかにいきなり溜まっていたりする。
引き寄せられて入り込んでから気づくんだけど大概。そんで「あ、違った。すんませ〜ん」つってソソクサと退散するのが常で。

アッチの領域「岩観音」入口。境界はこの道じゃなくてもっと下界にある(勝手に)
人の営みのすぐ横にある異界:仙石「岩観音」
この「岩観音」もまた。苔むした巨石と100体以上もあるという手彫りの観音様(当然数えてない)をお祀りしてあるのだが、それよりも山自体がアッチ側。
文字も消えかかった看板の案内で獣道みたいな参道に踏み入った途端、森で当然聞こえるはずの鳥や虫の声も無くなって(と思ってるだけかも)、梢の間から感じる強い視線。並走してくるような気配。
「ホントにあった!」

岩観音。ウォーリーみたいに探さないと
いる。ってか、「おわす」って感じの何かがいる、この森には。「参道を行く分にはいいけど、ココからコッチだからね」という明確な意思が伝わってくる。森の、頭よりやや上の方から。

上山は観音だらけ。下界の三十三観音巡りもマストらしいが、ココに来るだけで134体ってどうなの
空気は非常にいい。
たまに過疎のド田舎で見かけるようになった、捨てられたような廃神社や放棄観光地に淀むイヤな空気みたいなのは全くなく、現役でキチンと敬われているのが感じられる。
なんなら、大きくて有名な神社仏閣に気合い入れてお参りした時よりも浄化された気がする。

集落を突っ切る仙石坂(と言うらしい)。この辺りに境界がある
とはいえ、特段涼しくもないし、森(山)からの圧は凄いから別にオススメはしないけど、心身の浄化ねらいで端山散策をしたい向きには穴場かも(参道を外れてガンガン森に入ったらどうなるのかは知らないよ)。
…イヤイヤ、バカにしてんじゃなくて畏怖してんだけど。
※ココから帰還し、下界の三十三観音の一部や他の山道などを相棒と巡るうち、ふと「ある疑念」がよぎって。東北の里山に関して。
迂闊なこと書けないから都会に帰ったら検証・考察してみる。“しったげ”怖い…
◉野磁馬
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