しかし、それは起こった 〜サリー州のケルト儀式ってなんだ〜

1枚の写真 〜ONE SHOT〜

山形同様、日常のすぐ隣に異界があるサリー州

イギリス:サリー州の田園地帯で「ケルト人」の儀式(例祭?)だかなんかが現在でも行われているという、にわかに信じがたい話を取材するクルーについて行った際の1枚。

「ケルト」って言われたら「ドノヴァン」って即答すんのも大概古いが、いくら説明されてもいまいちピンとこない概念「ケルト」。
厳密には「民族」ですらないでしょ、世界中に分布しているし。
詳しい専門家にスッキリご教示願いたい。

ボンヤリと自然信仰、キリスト教以前の原始宗教、なんかスピ、みたいなイメージで。
ユダヤ教徒=ユダヤ人、みたいに理解しやすくないというか。ドルイド(神官?)とか霊魂不滅とか神話とか妖精とか聞くと、一番近いイメージはインディアン(N.A.)とかかな(わかんないなら迂闊なこと言うな)。

「スピ」全開の“魔女”グループ登場

で、その末裔ジモティ数名のグループに連れられ神聖っぽい森に入り、結局なんだかわからない祈祷だか儀式を見せてもらった。

リーダーの、一番偉そうなお婆さん(神官なのか?紹介では魔女だったかな?)はおそらく正式な白いローブ様の衣装を纏っていたが、それに追随するおじさんたちがあんまりにもさっきまでその辺にいた田舎のオヤジだったため、「これ観光用じゃないの?」とか半信半疑。
森の入り口で「生命の樹」を触って語りかけて(黙祷)から森に入るように言われた時も「ハイ、ハイ」とか半笑いでひたすら不遜な東アジアン。

だがそれは確かに起こった

森で行われる謎のケルト儀式を見守るようにおすわりしているのは、イギリス人にはお馴染み「BLACK DOG」

メンバーがサークルになり、段取り通りに儀式を始め、精霊とかなんかに祈る際は我々も一応厳かな雰囲気とか出してたんだけど。言語も謎で(あれがケルト語か?)、ろくにリアクションもできず…

日本からはるばる行ったクルーがスッカリ「撮れ高」などという、精霊にも神にもに全く関係ない軽蔑すべき概念を心配しだしたあたりで、奇跡は起こった。

なんのキッカケだったか忘れたが、ホント冗談抜きに一点俄かにかき曇り「え?ウソ」と言う間もなく辺りが真っ暗に。

そして、雹が降り出した。

思わず「ウソでしょ?」って口に出たが、傘を打つ雹の音にかき消されて。
あの時の我々日本人の顔の方がよっぽど見ものだったと思う。出役もそうじゃない人もほぼ全員「ウソ」しか言えない体たらく…

「ホントにあった!」

儀式が終わって魔女たちが帰り支度を始めるまでボーゼン。
さらにそこでピッタリ雹が止み、雲が切れたところから西洋の宗教画みたいに陽が差しはじめるに至りもう誰も口が聞けない。
それでいて体はルーチンで撮影の「お片付け」を始めてたんだけど。

「スピ」扱い上等、笑わば笑え

コレじゃ、宗教入っちゃうわ。てか、神様とか信じちゃうわ。西洋人じゃなくても。

結局日本に戻って東京砂漠でごちゃごちゃ不毛な生活に戻って今思い返しても、全く腑に落とせていないあの日のこと。
俺みたいな野次馬の低学歴が体験するにはもったいなくもおこがましい忘れじのオカルト体験。

◉野磁馬